都議会選挙で自民党が大敗。大臣の資質について考える
自民党の国会議員の大臣・先生たちが勝手にコケて都議会選挙大敗
7月2日に開票を迎えた東京都議会選挙。僕は都民ではないので、興味深く傍観していましたが、予想通り、都民ファーストの会が大躍進を遂げ、55議席を確保。自民党は59から23へと大きく数を落とした。
しかし、今回の選挙は自民党の国会議員の大臣やら議員やらが選挙前・選挙中に次々と事件を起こした、自民党の都議員の方々にとって、大変な選挙だったと思います。
以下、この数ヶ月に起きた事件のサマリーです。
- 安倍総理大臣:森友、加計問題
- 稲田大印:防衛省・自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい
- 下村元大臣:闇県献金疑惑
- 金田大臣:無能答弁
- 豊田議員:このハゲー!
豊田議員の「このハゲ」は置いておいて、稲田大臣のような、なぜこんなに資質に疑問がつく人が大臣をしているのでしょうか。誰がどう見ても、稲田大臣は防衛大臣にふさわしい人物だとは思えません。
日本の憲法で、大臣の過半数は国会議員から選ぶことが決められている
そもそもなぜ国会議員が大臣に任命されるのかというと、以下の通り、憲法で大臣の過半数は国会議員から選ぶことが決められているからです。
第六十八条
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
しかし、実際には過半数どころか第3次安倍第2次改造内閣の大臣は全員が国会議員です。
- 内閣総理大臣: 安倍晋三(国会議員:当選8回)
- 財務大臣: 麻生太郎(国会議員:当選12回)
- 総務大臣: 高市早苗(国会議員:当選7回)
- 法務大臣:金田勝年(国会議員:当選5回)
- 外務大臣:岸田文雄(国会議員:当選8回)
- 文部科学大臣:松野博一(国会議員:当選6回)
- 厚生労働大臣:塩崎恭久(国会議員:当選8回)
- 農林水産大臣:山本有二(国会議員:当選9回)
- 経済産業大臣:世耕弘成(国会議員:当選4回)
- 国土交通大臣:石井啓一(国会議員:当選8回)
- 環境大臣:山本公一(国会議員:当選8回)
- 防衛大臣:稲田朋美(国会議員:当選4回)
- 内閣官房長官:菅義偉(国会議員:当選7回)
- 復興大臣: 吉野正芳(国会議員:当選8回)
- 内閣府特命担当大臣: 松本純(国会議員:当選6回)
- 内閣府特命担当大臣: 鶴保庸介(国会議員:当選6回)
- 内閣府特命担当大臣: 石原伸晃(国会議員:当選9回)
- 内閣府特命担当大臣: 加藤勝信(国会議員:当選5回)
- 内閣府特命担当大臣: 山本幸三(国会議員:当選7回)
- 東京オリンピック担当大臣:丸川珠代(国会議員:当選2回)
アメリカの閣僚はどこからでも選ばれる
一方、アメリカの閣僚は公務員、民間など特に制限なく、どこからでも選ばれます。 トランプ大統領の閣僚のバックグラウンドを見る限り、民間、官僚、議員、知事経験者などから幅広く選ばれています。
- 大統領:ドナルド・トランプ(民間 不動産経営)
- 国防長官:ジェームス・マティス(元アメリカ中央軍司令官)
- 国務長官:レックス・ティラーソン(民間 元エクソンモービル会長)
- 財務長官:スティーブン・ムニューチン(民間 元GSパートナー)
- 商務長官:ウィルバー・ロス(民間 企業経営者)
- 労務長官:アンドリュー・パズター(民間 元カールスジュニア経営者)
- 住宅都市開発長官:ベン・カーソン(民間 医師)
- 大統領上級顧問 兼 主席戦略官:スティーブン・バノン(民間 ネットメディア会長)
- 中小企業庁(SBA)長官:リンダ・マクマホン(民間 プロレス団体CEO)
- 副大統領:マイク・ベンス(元インディアナ州知事)
- エネルギー省長官:リック・ペリー (元テキサス州知事)
- 農務長官:ソニー・パーデュー(前ジョージア州知事)
- 司法長官:ジェフ・セッションズ(議員)
- 教育長官:ベッツィ・デボス(議員)
- 厚生長官:トム・ブライス(議員)
- 国土安全保障長官:ジョン・ケリー(公務員 元アメリカ海兵隊大将)
- 国家情報長官:ダン・コーツ(議員)
- 内務長官:ライアン・ジンキ(議員)
- 中央情報局(CIA)長官:マイク・ポンペオ(議員)
- 退役軍人省長官:デビッド・シュルキン(公務員)
- 運輸長官:エレーン・チャオ(公務員)
もっとも、アメリカの仕組みがバラ色という訳でもないと思っています。トランプ大統領のような不動産屋のオジさんが突然世界最高権力を握れてしまうアメリカの選挙の仕組みはそれはそれで恐ろしい側面を持っていると思います。
日本の大臣ポストは総理大臣の人心掌握ツールに成り下がっている
過半数を民間などから選ぶことができるのに、国会議員で埋め尽くしてしまうのは、日本における大臣ポストが総理大臣の求心力を維持するための人心掌握ツールに成り下がってしまっているからではないかと僕は考えています。
日本の総理大臣は与党の党首がなることになっています。与党の党首になるには党内の人気投票で一番になる必要があり、人気投票の見返りとして大臣ポストは利用されているのです。
もちろん、議員が大臣を兼務するメリットはあるでしょう。例えば、政治家として官僚機構を使いこなすノウハウは、実際に仕事を進める上で必要なスキルかもしれません。
民主党が政権を握っていた時に、傍目で見ても官僚の使い方が分かっていなそうだな、と思ったものです。
また、議員という同じバックグランドは意思統一を図る上でもやりやすそうです。
しかし、今のしょうもない事件を連発する大臣を任命されては、国民はたまったものではありません。お願いだから、謙虚さを胸に、もう少しレベルの高い政治活動と言うものを国民に見せて頂きたいものです。