【2017衆院選】立憲民主党と枝野幸男氏の人気が急上昇した背景は、日本のガバナンスに対する不安があるのではないか

面白すぎる今回の衆院選

今回の衆院選ははっきり言って面白すぎます。

野党の準備が整う前に「衆院解散」という先制パンチを繰り出した安倍首相。

国民から見放されつつあった民進の看板を捨てて、実を取ろうと小池知事と希望の党結束に動いた前原誠司代表。

都政そっちのけで国政に首を突っ込む「都民ファースト」兼「希望の党」党首となった小池知事。

しかし、意外なことに、台風の目になったのは安倍首相でも、前原代表でも、小池氏でもなく民進党の代表選に破れ、希望の党との合流もできなかった枝野幸男氏でした。

枝野幸男氏は、苦渋の決断で小池氏から追い出されたリベラル系議員の受け皿となる「立憲民主党」を作ると人気が急上昇。希望の党の失速が目立つ中、圧倒的な支持を集めつつあります。

 

立憲民主党と枝野幸男氏の人気が急上昇した理由

僕は、立憲民主党と枝野幸男氏の人気が急上昇した背景は、日本のガバナンスに対する不安が背景にあるのではないかと思います。

大前提として、日本は法治国家です。

法治国家とは何か。法治国家について、ブリタニカ国際大百科事典の定義を抜粋してみます。

行政および司法があらかじめ議会の制定した法律によって行われるべきであるという法治主義による国家。

(中略)

行政,司法が単に法律に適合しているという形式面のみならず,その法律の目的,内容そのものが憲法に適合しなければならないという原則が確立され,それによっていわば法治主義の実質的貫徹が期されている。

つまり、法治国家とは行政、司法が法律に従って運営される必要があり、さらに大前提として法律は憲法に適合している必要があるということです。

安倍首相は独裁者として批判をされていますが、事実、共謀罪法案などを始めとする様々な法案を数の論理で強引に可決し続けてきました。憲法に関しても、集団的自衛権の法解釈を強引に変えるなど、憲法軽視が目立ちます。

憲法を軽視する人間が憲法改正を叫んでも、一体どこに連れて行かれるのか不安で仕方ありません。

小池氏の失速の原因は排除の論理を振りかざしたところだと報道されていますが、実態としては、国民は、安倍首相の独裁を批判する小池氏に、同じ独裁者の匂いを感じ取ったのではないでしょうか。

「安倍独裁にNO! (なぜなら私こそが独裁者にふさわしいから・・)」

小池旋風のマジックが溶け始めた国民が思っているのは、希望の党を支持することで、次の独裁者を作り出すだけなのではないかということでしょう。

一方、筋を通したとして圧倒的な支持を集める立憲民主党の枝野氏は、護憲を訴え、リベラルの支持者を集め続けています。

党の名前には「立憲」とあるように、まず国家の最高規範である憲法に則って物事を進めるということを宣言している訳で、今回の混乱の中ぶれずに自身の信念を貫いた姿勢と相まって、圧倒的な安心感を生み出しているのではないかと思います。

余談

余談となりますが、今から20年ほど前、僕が政策学校一新塾に通っていた時に講師の一人として来たのが枝野幸男氏でした。詳しい内容は覚えていませんが、世の中に、こんなに頭のいい人がいるのかと非常に驚いたことをよく覚えています。

個人的には憲法は改正した方がいいと思いますが、立憲民主党と枝野氏の活躍を応援したいと思います。現状だと、78人の候補者のうち、50議席以上は確実ではないかとの当選予測も出ているようです。投票結果が楽しみです。

 枝野氏の原点を学ぶならこの本でしょう。

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