【2017衆院選】希望の党が野望の党から絶望の党に転落した理由はポジショニングの失敗

希望の党が野望の党から絶望の党に転落

衆議院選挙2017の結果がほぼ出揃いました。

政権奪取という野望を掲げた希望の党は、マスコミの事前報道通り大失速し、49議席。公示前の57議席から8議席減らすという、200人以上を擁立しながら4人に1人しか当選できないという、まさに絶望の党と化しました。(怖)

f:id:kenjiokb:20171023043534j:plain

希望の党が絶望の党に転落した理由はポジショニングの失敗にある

僕は、希望の党が絶望の党に転落したのは2つの面でポジショニングの失敗があったのだと思います。ポジショニングについては、グロービスのサイトには次のような定義が書かれています。

ポジショニングとは、ターゲット顧客の頭の中に、自社製品について独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動。 顧客に自社製品のユニークな価値を認めてもらうことで、競合製品に対して優位に立つことを目的にしている。 ポジショニングを検討する際は、顧客の視点に立つことが重要である。

これを言い換えてみます。

 

政治におけるポジショニングとは、有権者の頭の中に、政党について独自のポジションを築き、ユニークな差別化イメージを植えつけるための活動。 有権者に自らの政策のユニークな価値を認めてもらうことで、競合政党に対して優位に立つことを目的にしている。 ポジショニングを検討する際は、有権者の視点に立つことが重要である。

 

この定義を頭に入れた上で、希望の党の転落を考えて見たいと思います。

1)小池氏のポジショニング

まずは希望の党党首である小池氏のポジショニングです。安倍首相及び自民党の強引な国会運営は多くの批判を浴びていて、安倍首相=独裁者という印象を少なくない国民が持っていました。少なくとも、多くの事案についてもっと丁寧な議論、丁寧な説明が必要だと、多くの国民が不満を持っていたはずです。

そのため、独裁者の反対の立ち位置があるとすれば、話し合いをしっかりして、多くの意見に真摯に耳を傾け、説明責任を十二分に果たせるリーダー像だったのではないかと思います。

しかし、実際には密室政治や排除の論理、首班指名を示さないなど、自分以外の党内権力者を一切許さない姿勢により、図らずしも女帝=次の独裁者候補というイメージがついてしまったのだと思います。

2)希望の党のポジショニング

もう一点が希望の党のポジショニングです。希望の党は政権奪取を掲げた野望の党でした。政権奪取を掲げる以上、現政権と明確に異なる立ち位置が必要でした。

しかし、小池代表は10月6日時点では、政権奪取を掲げているのに選挙後の自民党との連立を否定しないというコメントを出していました。

恐らくは、当初想定してたのは、小池旋風が吹いて多くの議席を獲得し、過半数まで行かないまでも、自民党を脅かす勢力になれば、支持率が下がっている安倍首相を引きずり下ろし、自分が総理になれるかもしれないという打算があったのかもしれません。

しかし、その後は都政に集中しろという批判や、連立に対する厳しい声が増えると小池氏のコメントも変節し、13日には連立を否定。まさに迷走しました。

立憲民主党のポジショニングに食われた社民党と共産党

一方、野党第1党として躍り出た立憲民主党ですが、民進党内のリベラルの受け皿として結党した結果、社民党と日本共産党の支持層を取り込み、大躍進を遂げました。

党首討論で僕が笑ってしまったのは、立憲民主党が社民党と同じ護憲勢力であることからMCの人が吉田党首に

「同じような立ち位置ですね」

と尋ねると

「ようやく立憲民主党が我が党の政策に追いついてきた感じです」

と答えていたところです。ポジショニングが同じならば、当然露出が大きい方が有利になる訳で、実際社民党は議席を2から一つ減らし、1議席を守るのみとなりました。

また、政権のやること全てに反対する日本共産党は、政権の180度反対を行く分かり易すぎる対立軸だったため、前回の選挙では躍進し、21議席を確保していましたが、自衛隊は違憲だの、話し合いだけで外交は何とかなるだの、夢物語しか語らない党にうんざりしていた人も多かったのではないかと思います。

そこに現れた枝野幸男氏率いる立憲民主は、もっと安心感のある護憲勢力だと国民の目には映ったのではないかと思います。