トランプ大統領にみる人間の愚かしさと権力者に必要な特質

日経新聞朝刊に、サミットの混沌ぶりが掲載されていた。

先進国の話し合いと合意の場だったサミットだが、カナダのトルドー首相がまとめた首脳宣言を拒否。現在米国が進めている貿易政策を今後も強硬に進める姿勢をあらためて明らかになった。

トランプ氏の強硬姿勢の背景

この強硬姿勢の裏には、11月に控えている中間選挙があると言われている。

現在支持率が40%と低迷しているトランプ氏は、自分の支持者たちの関心を買うことだけが最大の関心事で、世界の混乱など知ったことか、といった感じだ。

北朝鮮との会談も、支持者たちに対し、外交の成果をアピールするための布石にすぎず、今回の会談によって「完全で検証可能で不可逆的な」非核化が実現できると考えている専門家は少ないとのこと。

権力を維持するためにポピュリズムに走る権力者。

自分が世界の一部になっていることも忘れ、もしくは気づかず、自分の目先の利益だけを提供してくれる権力者を支持する人々。

この二つの不幸な因子がかけ合わさり、かくして非合理的な混乱を次々に引き起こしていく。

トランプ氏のやっていることは論理が破綻しているという文調の記事をよく読むが、「権力を維持するために必要な事をやる」という意味では、非常に理にかなっている。

権力者に必要な特質は「公への奉仕」ではないか

以前、アメリカ大統領選の候補者だったミット・ロムニー氏の生い立ちについての記事を読んだが、同じく経済界から政界へと転じた父の影響で、「公に仕える」という価値観を持ったと書かれていた。

この「公に仕える」という意識は、全ての権力者が持っておくべき資質ではないかと思う。

ここで言う「公」とは、自分の住む市町村、国家、そして世界に住む人々の福利の事だ。

もちろん、自分を選んでくれたのは自分の国民なのだから、自分の国民の福利が最も大切だ、と言う主張はわかるのだが、自国もまた世界の一部なのだ、と言う視点を忘れると、思わぬところに落とし穴にハマりかねない。

アメリカを再び偉大にする、とトランプ氏は度々言っているが、トランプ氏が大統領になってからのアメリカの国際社会での信用が急落の一途を辿っていることはブラックジョークのようだ、と感じるのは僕だけではないと思う。