取る意味あるの?米国でMBAを取得することのメリット・デメリット

MBAプログラムを卒業してもう早8年になります。MBA取得のビフォーアフターを自分の経験、先輩や後輩たちのキャリアを見てきて、メリット・デメリットをまとめてみたいと思います。

 MBAを取得するメリット

取得するメリットですが、以下の点が挙げられます。

メリット1)キャリアの選択肢が広がる

僕の好きな言葉に以下のようなものがあります。

教育とは機会という扉を開ける鍵である

ゴードン・B・ヒンクレー

ある種の職種では、就職活動の募集要項にMBA取得が優遇または必須の条件として明記されています。つまり、MBA取得はそうした仕事に応募するための「鍵」として作用する訳です。

例えば、投資銀行やコンサルなどは顕著で、ボストンキャリアフォーラムなどに行くと、MBAだけを採用しにリクルーターが面接をしに来ます。

メリット2)ネットワーキングが広がる

コネとは日本ではあまり良い文脈で用いられませんが、海外に行くとネットワーキングは非常に重視されています。

各ビジネススクールでも、卒業生を繋ぐネットワーキングは非常に積極的で、これらのネットワーキングから様々な仕事の機会が生まれます。

この観点で考えると、僕の卒業した米国の中堅MBAプログラムは小規模で日本人生徒が少ないため、あまり価値があるとは考えにくく、僕が留学を考えている時に相談に行ったウォートンの卒業生には真面目な顔で慶應大学のビジネススクールを勧められました。

メリット3)異文化経験と語学力が身につく

僕のように明治大学を卒業して、日系企業に働いていた人間にとっては、MBAは海外経験を得る貴重な機会でした。

下手くそな英語を駆使しながら、世界から集まってくるクラスメイトたちと切磋琢磨した経験は今のように毎週のように世界と繋がる仕事をする上で良い準備になったと思います。

メリット4)人生のバケーションを堪能できる

 先にMBA留学していた友人が「MBAは人生のバケーションだ」と言っていて、そんな訳あるかと思っていましたが、今振り返ってみると本当にその通りでした。

一度社会人になってから学生に戻ることがどれだけ贅沢なことなのか、戻ってみると本当によく分かります。

授業は忙しいですが、夏休み、サンクスギビング、クリスマス休暇などなんだかんだ言って休みは社会人よりもはるかに多いです。

僕は休暇の度にイエローストーンなどの国立公園に旅行に行っていましたが、社会人になった今はほぼ不可能です。

こうした余暇は人生やキャリアを見つめ直すいい機会になります。

メリット5)専門性の高い教育を受けられる

これを最後に持ってきたのは、MBAの勉強なんぞは本屋に行けばいくらでも勉強できるからです。

 例えば、グロービスのMBAシリーズは有名で、このシリーズを全部勉強すれば、MBAで学ぶことはほぼカバーできてしまいます。

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 それでも、MBAプログラムで勉強する価値があるのは、クラスと言うリアルな環境の中で、教授やクラスメイトと実際に議論をしながら学ぶことができるからです。5感を通して学んだ方が、記憶の定着が良いのはよく知られたことです。

MBAを取得するデメリット

続いてデメリットについてです。

デメリット1)お金がかかる

僕は幸いなことに奨学金で授業料や保険、教科書代などを賄うことができましたが、それでも留学費用の合計金額を考えると、2年間収入が亡くなった機会損失も換算すると2000万円くらい掛かってしまっています。

デメリット2)キャリアの足かせになることがある

MBAを卒業するとなんとなくエリートの仲間入りしたような錯覚に陥ることがあるのですが、これは本当に錯覚です。

逆に「キャリアはこうあらねば」みたいなおかしな先入観に縛られることが少なくないような気がします。

これは、MBAプログラム側が「理想の卒業後のキャリアはこうあるべき」みたいなものを無意識に刷り込んでいくことが大きいのではないかと思います。

デメリット3)MBAのフレームワークや分析は実務では役に立たないことが多い

実際に仕事に戻ると、MBAで学んだフレームワークやら分析やらは驚くほど使われないことが多いことに気付かされます。僕は数ヶ月でそのことに気付き、すぐに封印しました。苦笑

ファイナンスなどは違うのかもしれませんが、マーケティングはそのことが顕著ではないかと思います。

デメリット4)受験がとにかく大変

MBA受験が大変なのは、仕事をしながらTOEFLやGMATの勉強をしなければならないところにあります。およそ2年、忙しい仕事をしながら毎日6時間以上の勉強時間を捻出し続けるのは本当にタフでした。

まとめ:で、結局MBAは取る意味あるのか?

結局、米国でMBAを取得する意味があるのかどうか、ですが、「人によります」というのが今の僕の答えになります。

人生、人の数だけキャリアの道もあります。MBAは無数にあるそうした道の一つのオプションに過ぎません。自分が進みたい将来に役に立つと思えば行けばいいし、他に道もあると思えばあんなに難儀なことをせずとも良いのではないかと思います。